流山市民活動推進センター
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 「障がい者は社会人として自立する上で障壁が少なからずあることは否めないものの、地域住民の理解と支援、寛容な心に見守られながら、社会に共存する一員として明日に向かって一歩一歩成長して行かねばならない」、そんな想いから、15年前に江戸川台に心身障がい者向けに小規模福祉作業所を開設し、現在では作業所に加えて3つの売店を独自に運営するまでに至っている「NPO法人 南天の木」を訪問取材しました。最初に3つの売店と作業所を見学してから、カフエ「南天」で、小林哲夫代表とスタッフの山本さんを中心にいろいろなお話を伺いました。
※文中で、障がい者の方達を”彼ら”と称していますが、”彼ら・彼女達”と置き換えてください


‥‥「NPO法人 南天の木」が発足した背景について説明ください。 

 東武野田線江戸川台駅西口に数名のボランティア・スタッフにより、平成7年9月に設立された「小規模福祉作業所 南天の木」が前身です。平成11年から流山市が通所訓練施設に対する支援を行う機会に恵まれ、その後、直営売店も3店開設しました。広い作業所を求め江戸川台東口に移転したこともありましたが、平成20年より発祥の地である西口に戻りました。昨年の3月にNPO法人に改編し、現在に至っています。
 設立理念である、
「障がい者が、社会の一員として自立した生活を地域社会で営んで欲しい」「障がい者に、仕事に喜びを感じ、安心して働いて欲しい」の2点は変わることはありません。
 この目的を実現するために、働ける機会と場所を提供し支援することを私たちスタッフは肝に銘じています。そして、その過程を通じて障がい者の方が自ら成長し、地域社会が偏見や差別がなく、全ての人々が互いに理解しあい、共存できたらと切に願っています。

‥‥「南天の木」で働いているスタッフおよび通所している障がい者の方は何名おられるのですか?
 
 
スタッフですが、常勤は代表の小林と
山本、高橋、三住の計4名です。また、直営売店・作業所でスタッフとして支援していただいる非常勤の方が20名ほどおります。障がい者は23名働いていますが、自力で当所に通勤できることが条件になっていますスタッフの方々は、福祉に関心があり一緒に働きたい方や子育てが終わって地域に何か貢献したいと思っている方達がお手伝いしてくれておりますので、大変ありがたい限りです。
 実の母親の様に深くて温かいこころで障がい者と接し、礼儀作法など日常生活に必要な躾をわが子に行うような気持ちで行ってくれますので、本当に助かります。このようなスタッフに支えられて、当所に来た障がい者は確実に成長して行きます
 障がい者の勤務は、南天の木利用契約書に基づき9:00~15:30に設定していますが、彼らは先ず作業所にある事務所に出勤します。そこで、その日の勤務場所が割り当てられ、作業所ないし直売店に自力で赴きます。事務所を出るときは、周囲に響き渡るような大きな声で「行ってきます。頑張ってきます」と挨拶する元気な子もいます。
 
‥‥障がい者に接する当団体の特長は何でしょうか。

 
何と言っても、設立当初から「知的障がい」「精神障がい」「身体障がい」の3障がい者が一緒に働くことを貫いてきたことです。平成17年に障がい者自立支援法が制定され、障がい者種別を超えた共通するサービスを提供することで障がい者の自立支援を行うことになってからは珍しくないのですが、当所はそれ以前から実施してきました。
 初めて当所に来たときは、異なる環境にとまどったのか「私と他の障がい者と一緒にしないで」などと主張する子もいたり、障がい者種別間で軋轢も発生しましたが、暫く一緒に作業を続けているうちにお互いを認め合い、協力し合い、相手の弱点をカバーするようになります。スタッフの励ましや指導もあって、彼らは見事なまでに成長していきます。
そして、そういった姿を見ることが私たちの励みであり、充実感を感じる瞬間でもあります。

‥‥先ず、作業所ではどのような仕事を行っているのですか? また、どんな雰囲気ですか?

 今日は、ご覧の通りビーズの袋詰め作業を行っていますが。依頼者の要求する品質を正確に、スピード・集中力を持って納期を守ることを第一に働いています。流山の社長さんが好意的に仕事を回してくれるのですが、なかには、残念ながら期待に応えられないこともあります。そんな時は、今は駄目でも少ししたら必ず出来るようになると彼らを励まし、自らをも励ましながら前に進むようにしています。作業は、スタッフの方々がサポートしながら、和気あいあいとおしゃべりをしながら、軽作業を通じて職業訓練や生活指導を行っています。彼らにとっては単なる作業ではなく、人とかかわり合い、社会とかかわり合いながら社会のルールを覚え、社会人として自分が成長する場でもあります。スタッフは特に意識していませんが、社会の仕組みや人生を教え・導く先生でもあります。
 写真をクリックしてスライドショー
 
‥‥直営売店の様子について教えてください。

 直営売店は、江戸川台東の「ポケット」、ほっとプラザ下花輪内の「ひばり」、そして、作業所に隣接する「カフェ・南天」の3箇所あります。ほとんどが委託販売方式で、野菜や花、日用品、雑貨など近隣の農家・製造所から仕入れて販売手数料をいただいています。主に何を販売しているかは写真をスライドショーでご覧ください。
 何れのお店でもボランティアの助けを借りながら、障がい者がレジなどで店頭販売をしています。お客様と会話をしながら、釣銭を一緒に数えたりと微笑ましい風景がここかしこで見られます。ポランティアはさりげなく彼らの言動を見守り、時に話し方や挨拶の仕方を教えたりします。このような中で、彼らはゆっくりながらも着実に社会人として成長して行くのです。
 そして、そんな彼らの姿を見て一番喜んでいるのはご両親を始めとするご家族です。障がい者だからと言って家で籠らせてはいけません。人の助けを借りながらも、一つ一つ目の前のことを成し遂げることによって彼らは見違えるほどに育って行くのです。人と接し社会と接し続けることが、私たち人間が前向きに生きて行くためには必要なことは誰でも一緒です。
‥‥ここまで来るには人に言えない苦労があったと思いますが‥‥。

 よくその質問をされるのですが、順風満帆でここまで来ましたので返事に困ってしまいます。任意団体からスタートしたのですが、地域の方々に支えられボランティらの方に恵まれて来ました。土地柄なのでしょうか、こちらでお願いしたわけでもないのに、簡単に早く作業出来るように工具を発明してくれたり、布団の裏打ちをして提供してくれたりと種々支援してくれます。
 また、私たちが目の届かない部分では、障がい者を地域の方達がよく見てくれていて、注意やアドバイスをしてくれたりと地域社会で障がい者を見守ってくれています。本当にありがたいことです。
 
‥ 現在の業務に携わって良かったと思う瞬間はどのような時でしょう。

 障がい者の実態をある程度理解できるようになり、自立に向け彼らをなんとかしてやりたいと思うようになりました。彼らは実に素直で、人の心を読みますが裏をかくと言ったところはなく、純粋そのものです。この業務に携わって沢山のことを経験するようになって、自分自身の幅が広くなったようで自分のためでもあります。社会にご恩返しができる機会が与えられたと感謝しています。(小林代表談)。
 
 障がい者の家族の方が少しでも楽になればと思っています。彼らが仕事に喜びを感じ、一生懸命に仕事に向かう姿は見ているだけで楽しくなります。ましてや、毎日当所に元気に通い、実体験を通じて社会のルールを覚え成長して行くのを身近に感じるのは嬉しい限りです。(山本さん談)。

‥‥今後の方向性ついてお考えを聞かせてください。

 障がい者のご家族が切に願っているのは、「将来的に仕事を続け、自立して自分の生活を着実に歩んで欲しい」ことです。そのためにも、もっと彼らの収入が増えるように、また沢山の人に働いて貰えるように事業の拡大を図っていきたいと思っています。現在は作業所での手間賃に加え、直営店の販売手数料が彼らの収入の原資です。この種の他の施設と比べれば多く支払っているとは思いますが、彼らの自立に向けてはまだまだ不十分です。例えば、販売委託料だけではなく製販含めて行えるようになるとか考えていきたいと思います。そして、それには行政を始めとする企業・団体・地域住民のお力添えが欠かせません。引き続き、過分なるご支援・ご理解を賜りたいと思っています。

〔編集後記〕
 今回、作業所・直営店の全施設を取材して先ず感じたのは、障がい者に対するスタッフの寛容でやさしく慈愛に満ちた無償の愛とそこで働く障がい者の元気で明るい輝く眼です。行く先々で、お邪魔した時には「いらっしゃいませ!」、帰るときは「ありがとうござました。 また来てください!」と声を掛けていただきました。特に作業所の玄関には、次から次へと皆さんが顔を出していただき、「ありがとうございました!」と見送ってくれました。働く場で真の教育がなされている証でしょう。
 以前と比べると障がい者に対する社会・市民の理解は進み、優しい環境になってきたと感じますが、障がい者の自立や将来に向けた支援に積極的にかつ真剣に取り組んでいる施設・機関は、まだまだ少ないのではないでしょうか。この問題に対し、「南天の木」は設立以来真正面から取り組み、昨年NPO法人に改編し、事業経営の視点から、今後のあるべき姿を見据えた活動を展開しています。
 そして、「地域の方々に支えられ通所者の成長に支えられて大した苦労もなく、順風満帆にやってこれた」とさらりとお話をする謙虚さと力強さを感じました。信念に基づいて活動している方々の真の強さをそこに見た思いです。
「南天の木」のような法人がそこかしこに設立されて、障がい者の方が楽しく生き生きと働いている姿を見れる社会を、早く実現したいと願わざるを得ませんでした。
 最後に、「カフェ南天」でいただいた餡かけヤキソバとお土産に買ったシェフ手作りのパンは絶品の味でした。是非、読者の皆様もお店でホンモノの味を堪能してください。そして、直営店を一度ならず何度でも訪れて、働く障がい者の方々を激励し、スタッフの方々に労いの言葉を掛けて欲しいと思います。

Ps:後日作業所を訪問したら、ちょうど近くに住むボランティアの方を先生に英会話教室の最中でした。「Happy Birthday Dear ○○ちゃん」と合唱していました。聞けば、月1~2回勉強しているとのことです。ここまでやっているのかとビックリです。また、ペン習字や読み聞かせなども行い、社会人として一般常識を身に付けて貰いたいと願っている気持を再確認できました。本当に素晴らしいです。 
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